プチ業界分析 家電量販店編
当ブログの中で、家電量販店の再編について少し触れたことがあった†1。
あまり意識していなかったが、考えてみると1990年代以降から郊外型の大型家電量販店が発展し始め業界内の競争が激化、個人商店の電器屋や中小家電量販店の統廃合が進み、一気に寡占化が高まった。
かつての電器屋街や街の電器屋(ナショナルショップなどの系列店)さんはことごとく衰退、このころからチャネル支配力はメーカー側ではなく「完全†2」に小売店側へとシフトした。
そんな家電量販店業界は現在、一説では「売上高5,000億円」が生死を分ける条件だとか。
ここでは、『日経業界地図 2008年度版(日本経済新聞社、2007年)』を参考にして家電量販店業界の状況を軽く抑えてみようと思う(たいしたことはやりません)。
表1は、家電量販店売上高上位9社を比較したものだ(データの出所はすべて『日経業界地図 2008年度版』)。
ヤマダ電機が、売上高1兆4,437億円、経常利益717億円でダントツのトップである。
家電量販店全体の売上高は5兆7,804億円ということだから、ヤマダ電機の売上高シェアは25.0%もあり、他社を圧倒していることがわかる。
確かに、ヤマダ電機の1兆円を越す売上高は、メーカーに対するバイイングパワーとして強力なものだ。
しかしながら、家電量販店業界の中でヤマダ電機の地位は絶対的なものなのだろうか?
少し視点を変えると、これらの数値からまた別のことがみえてくる。
表2は表1に出てくる数値を加工しただけのものだ。
表2をみると、企業の総合的な収益性を示すといわれる売上高経常利益率はヨドバシカメラが5.9%でもっとも高く、ヤマダ電機は2位(5.0%)である。
その他、すべての項目でヨドバシカメラがヤマダ電機を上回っており、とくに1店舗あたりの売上高は8倍近くの差をつけヨドバシカメラがヤマダ電機を圧倒している。
このことは、ヤマダ電機が郊外型の大規模量販店で、ヨドバシカメラが駅前型の大規模店舗という、出店戦略の差であるといえる。
それを証拠に、駅前型といえばビックカメラも同様で、やはり店舗や売場面積ベースの数値はヤマダ電機を上回っている。
ここでもう一度あらためて表1の店舗数と平均売場面積をみると、平均売場面積はヤマダ電機が3,266㎡、ヨドバシカメラが7,000㎡、店舗数はヤマダ電器が338店、ヨドバシカメラが19店。
つまり、ヤマダ電機と比べるとヨドバシカメラは、1店あたりの売場面積は2倍以上を確保しながらも、店舗数は約1/18程度に絞り込んだ非常に効率的な出店戦略を採っているということがわかる。
家電量販店業界で史上初の売上高1兆円超を果たしたヤマダ電機が、出店することで競争がさらに激化するにもかかわらず、わざわざ駅前型に出店戦略を切り替えようとしている背景には、単なる店舗数の多さではなく出店場所と売場面積との関係を綿密に計算したストアマネジメント戦略から生じる効率性というロジックが見え隠れする。
さて、ことわざには「二兎追うものは一兎も得ず」とあるが、このヤマダ電機の出店戦略の変更が吉と出るか凶と出るか。
2~3年後の家電量販店の勢力図がどうなっているのか、今から楽しみである。
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まず家電量販店ってなんか?ということを知りたいと思います。
なんかよくわかんない間に、そんな業態の店ができたので、どう取り扱ったもんかが、見極められない。
例のアレでうまいことうっしっしにしましょう。