【分析編2】録音音質の視覚的分析

2012.09.11 Selfish Study boff 208 views

前回聴覚的分析で使った各録音結果の音質を、目で見て判断できるよう”WaveSpectra“というフリーソフトを使ってグラフ化しました。
“WaveSpectra”は、「音声信号を FFT(高速フーリエ変換)して、リアルタイムにその周波数成分(スペクトラム)を表示するツール」です。
グラフの見方は、縦軸がdB(デシベル)で音圧レベルを示しており、上に行くほど音が大きいということ意味します。
縦軸は、Hz(ヘルツ)で音の周波数を示しており、右に行くほど高音域、左に行くほど低音域ということです。
そして、赤い折れ線の波形は、録音した音の周波数帯の音圧ピークを表しています。
以上の予備知識をベースに次のスペクトルグラフを見てみましょう。

 

視覚的分析

①ICレコーダー(内蔵マイク):OLYMPUS Voice-Trek V-13

①ICレコーダー(内蔵マイク)

 

②コンデンサマイク(ステレオ):audio-technica AT9901

②コンデンサマイク(ステレオ)

 

③コンデンサマイク(モノラル):ELECOM MS-STM54

③コンデンサマイク(モノラル)

 

耳で音を聞き比べたときの音圧レベル(音の大きさ)をふりかえると、①ICレコーダー(内蔵マイク)がもっとも低く、次いで②コンデンサマイク(ステレオ)、③コンデンサマイク(モノラル)の順で高いように感じました。
また、②は他に比べてやや高音域が強く感じられたのも特徴でしたね。
実際に音質を視覚化すると、聴覚で感じたことをある程度裏づける結果が表れているようです。
例えば、3つの波形を比べると、明らかに①は14,000Hz以降の高音域の低下が著しく、また2,000~10,000Hz周辺の中音域から高音域にかかる音圧レベルもやや低下していることがわかります。
また、②と③では、②は高音域でピークに厚みがある一方、③は他に比べて低音域の音圧レベルが明らかに高いことが波形からも読み取れます。
分析結果をまとめると、①と②の音圧レベルに大きな差はないが、②は高音域を強く拾っている。一方、③は①・②と比べ低音域から高音域までカバーしており、そのため音圧自体が他よりも大きく安定的に感じるのではないかと思われます。
以上の結果からはっきりしたことは、ICレコーダーで録音する際には、コンデンサマイクは使用すべきということですが、ここでひとつ新たなる疑問が生じます。
では、コンデンサマイクはモノラルがいいのか?ステレオがいいのか?
聴覚・視覚のどちらから判断しても、②よりも③の方が音圧レベルが高かったので、「モノラル」の方が優れていたと言えます。
しかしながら、実は、実験に使用したICレコーダーのマイクジャックはモノラルだったので、もしかしたら②コンデンサマイク(ステレオ)は十分にそのポテンシャルを発揮していなかったのではないか?と・・・・。
あらためて、ステレオミニプラグをモノラルミニプラグに変換するアダプタを装着して再実験するか、もしくはステレオのマイクジャックを備えたICレコーダーを準備する必要がありそうですね。
なんとも、奥歯に物が挟まったような結論に至ってしまいました。
ま、いかに調査準備段階が重要であるかということの実証研究でしたとさ。

 

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Reaction

  1. Boff より:

    自分に追伸です。
    >あらためて、ステレオミニプラグをモノラルミニプラグに変換するアダプタを装着して再実験
    ということで、ステレオをモノラルにするミニプラグアダプタを入手、再度AT9901を試してみました。
    しかし結果はほぼ変わらずで、ムダな出費をしてしまいました。 =:[

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