共通の目的でアクシデントも見事リカバー
8/23(土)、あいにくの雨模様。
この日は、JA京都府青壮年教育ファーム推進協議会さんの取り組み(「農業体験教室 in 氷室の郷」)で、京都府南丹市にある「氷室の郷」(運営は南丹市八木町)におじゃましました。
南丹市は2年前の2006年1月に、船井郡の園部町、八木町、日吉町と北桑田郡の美山町が合併して誕生した比較的新しい市です。
京都府のちょうど中央部に位置していて、地図で見るとまるで京都府の帯のようにも思えます。
また大阪府、兵庫県、福井県、滋賀県と4つの府県に接しており、全国でも珍しい都市ですね。
「氷室の郷」がある八木町内には、「男前豆腐」のブランド化で有名になった男前豆腐店の本社工場があったりもします。
「農業体験教室 in 氷室の郷」の参加者は、京都市内の小学校に配布したチラシや『Go Go 土曜塾』†1を通じて応募された京都市内在住の小学生と保護者合わせて45名。
前回7/12(土)には、猛暑の中、午前中に京水菜の播種、午後から万願寺とうがらし、ナス、トマトの苗植え、そして小松菜の播種をされたそうです†2。
全2回の最後の取り組みとなる今回は、残念なことに朝から雨。
ご担当者の「みなさん来られるかな?」という心配もよそに、集合場所となった京都駅には前回の参加者のほとんどが集まりました。
京都駅からチャーターバスで「氷室の郷」へ移動。
「氷室の郷」に到着して間もなく、ホール内で開会式が開かれ、第2回目の「農業体験教室」がスタートしました。
この日のスケジュールは以下のとおりです。
・万願寺とうがらし、ナス、小松菜、トマトの収穫体験
・夏野菜のカレー、京水菜のサラダの料理体験と試食会(昼食)
・京水菜の収穫体験
まずは、JA京都府青壮年部のみなさんの指導を受けながら、自分たちで植えた万願寺とうがらし、ナス、小松菜、トマトの収穫です。
大きくて青々と生長した万願寺とうがらしと超巨大ナスに、参加者のみなさんのボルテージも高まっていきます。
子どもたちも自分たちで収穫した万願寺とうがらしやナスを保護者に見せながら「こんなに大きいのが採れた!」とおおはしゃぎ。
万願寺とうがらしの鮮やかなグリーンは葉っぱの緑と保護色になって、子どもたちは「どこ?どこ?」と目の前の万願寺とうがらしを探している姿もチラホラ。
とはいえ、やっぱり収穫は喜びですね。
ただ残念だったのは、トマト、小松菜、京水菜。
JA京都府青壮年部の方の話しよると、トマトは定植時期が少し遅かったらしく、収穫するにはちょっと早かったようです。
そして小松菜は今年の異常な暑さに負けて、生育状況が今ひとつ。
さらに、京水菜に関しては、猛暑のせいで発芽さえもしなかったという残念な結果になってしまいました。
自然相手のことですから、こればっかりはどうしようもありませんね。
雨の中開始された万願寺とうがらしやナスなどの収穫は、アッという間にみなさんのカゴもいっぱいになり、終わるころには雨も上がっていました。
午後は、収穫した万願寺とうがらしとナスなどを使った夏野菜カレーと京水菜のサラダの料理体験です。
スケジュール上、短時間でカレーとサラダを作ることになってしまい、厨房はさながら戦場のような雰囲気。
そんな中で、女の子だけではなく男の子もお母さんに習って、ピーラーでじゃがいもの皮を剥いたり、包丁で野菜を切ったりと大活躍でした。
包丁で野菜を切ろうとするわが子に、「抑える手はネコの手よ!」と保護者の方みなさんがおっしゃっているのを聞いて、自分も子どものときそういわれたなぁ~と懐かしく思いました。
子どもに包丁を使わせるのは、親としてはなかなか怖いことかもしれません。
事実、ピーラーでじゃがいもの皮を剥いていた女の子が手を切って号泣する事態も発生しました。
怪我をした女の子はかわいそうですが、しかし、実際に痛い思いをして、刃物は危ないものだと体感するはずですから、これも非常に大事な体験だなぁと感じます。
ドタバタの料理体験(笑)でしたが、無事に夏野菜カレーと京水菜のサラダが完成。
隣にあるレストランに参加者とJA京都府青壮年部の方たちが集まって、全員でいただきました。
あつかましくも、私もご馳走になりましたが、採れたてのナスに万願寺とうがらしなどが入ったカレーライスは絶品でした。
とくに、万願寺とうがらしは、肉厚でまるでピーマンのようなお味。
どうもそれが万願寺とうがらしの特徴とのことです。
また、大人数で食べるからなお美味しいんでしょうね。
おかわりしたくても在庫がなくなるほど好評で、子どもたちも残さずきれいに食べていたようです。
さて、昼食を終えた一行が向かう次なる場所は、京水菜のハウス。
先ほども書いたように、前回、参加者たちが播種した京水菜の種はこの猛暑で残念ながら発芽しませんでした。
しかし、「氷室の郷」がある八木町の京水菜農家の方のご好意で、そちらでハウス栽培されている京水菜の収穫体験をさせていただくことになりました。
「水菜」はやはり暑さに弱い作物なのでしょうか?
ビニルハウスの天井には遮光するための黒い布がかかっており、ハウスの中は昼間でも薄暗かったです。
京水菜の収穫方法は、水菜を土から引き抜き、土の付いた根っこの部分を鋭利な小刀で切り落とし、余分な葉をふるい落として終わりです。
指導してくださった生産者の方が、水菜について次のような話をされていたのが印象に残っています。
よくスーパーで売っている袋詰めの水菜を見て、消費者は水菜は水洗いしてから出荷していると誤解されているようですけど、絶対に水洗いはしていません。
私たち生産者は、ほとんど農薬も使わずに生産しているし、水洗いしなくてもいいように、絶対に土が付かないよう注意して収穫しているんです。
その話を聞いた参加者の方は、感心しきりでした。
こういう話も、実際に産地に来て生産者から教えていただくと、今度スーパーなどで野菜を見たときに、きっと思い出したりしますよね。
収穫し終えた京水菜もお土産にいただくことができました。
京水菜が発芽しなかったりといったアクシデントはありましたが、おおむね無事に全プログラムは終わり、「氷室の郷」のホール内にて閉会式です。
閉会式でJAの方のあいさつでは、「今回の体験教室を通じて、野菜などの生産現場を少しでも身近に感じてもらうことができたら、それが私たちの喜びだ」と締めくくられました。
京水菜のトラブルを見事にリカバーできたのも、「生産現場を理解してほしい」という生産者共通の目的を共有できていたからこそだろうと思いました。
袋いっぱいに詰め込んだ万願寺とうがらし、ナス、京水菜、盛りだくさんの農業体験教室、そして心地良い疲労感もあったのでしょう、帰りのバスでは参加者のほとんどが夢の中でした。(笑)
Notes
- 子どもたちの学習・体験活動に関する情報誌で、京都市教育委員会が発行 ↩
- その様子は、ブログ「農業体験教室 in 氷室の郷」をご覧ください ↩
Only Japanese comments permit.
TrackBack URL