『現代社会はどこに向かうか』からのキーワード
『現代社会はどこに向かうか 《生きるリアリティの崩壊と再生》』(見田宗介著、FUKUOKA U ブックレット1、弦書房、2012年)を読みました。
本書は、2010年8月に福岡市で開催された、見田宗介講演会(福岡ユネスコ協会主催)の内容を記録化した書籍です。
今から6年前の講演とはいえ、現代社会を考える上で多くの示唆に富んだ内容だと感じました。
本書からとくに感じ入った内容を箇条書きにしてみます。
- 「現代」は1970年あたりからロジスティック曲線でいうところの減少フェイズに入ったということ。
- そのことは、「世代間モードの圧縮」という状況からも歴史のスローダウン化として現れているということ。
- その一方で、近代から現代にかけて急成長を遂げた資本主義的発展の惰性というベクトルとのせめぎあいがあり、そのせめぎあいの中で多くの若者がリアリティを失う(虚構化)といったような精神構造への影響も決して偶然ではないということ。
- これまでわれわれは、さまざまな限界に直面したとき、「域外転嫁」(例えば、マーケティング、エネルギー問題、大量廃棄物問題、グローバリゼーションなど)によって有限性をかりそめの無限性にすり替えてきたということ。
- 過渡期、スローダウン化、虚構化と特徴づけられる「現代」の出口となるキーワードは、「共生」。
- 「共生」という戦略から「生きるリアリティ」を見つける方法が見出されれば、新しい時代が開けてくる可能性もあるのではないかということ。
なるほど、スローダウンする歴史の流れと資本主義的成長の惰性とのハザマに生じる、虚構化する空間のような「現代」へのモヤモヤした感覚について説明していただいたような気がしました。
一介のマーケターとしては、「リアリティって何だろう?」と深く考えずにはいられないわけです。
また、「弱肉強食」よりも「共存共栄」の方が、極めて戦略的だしいろいろな意味で高度だなとも思いました。
現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》(FUKUOKA U ブックレット1) (FUKUOKA Uブックレット)
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見田宗介
弦書房
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