サービス・クオリティの公的評価について

2007.05.10 Column 1 Comment boff 0 view

 

先月の27日の読売新聞に「政府がホテル・飲食店を採点、顧客満足度を公表へ」という記事があった。
その記事によると、政府(経済財政諮問会議)がサービス業に対する顧客満足度を調査し、その結果を毎年公表するのだという。
その目的はサービス業の競争を促進し、日本経済の生産性向上にあるらしい。
また、5/10に「サービス産業生産性協議会」が発足し、この産学官の新組織がサービス業の「質」を測る顧客満足度指数や対象となるサービス業種の選定にあたる。
公的サービスに対しては一刻も早くやっていただきたいと思うが、民間サービスの公的評価という政府の介入によって果たしてサービス市場の活性化につながるのだろうか?

結論からいうと、ダメだろうというか、民間サービス業者に対する冒涜ではないのかとさえ感じる。
そもそもサービスは工業製品に比べて生産性が高まらない特殊な諸事情がある。
一部の特殊な形態を除いて「サービス」という商品には、在庫の不可能性、輸送の不可能性、生産と消費の同時性という特徴があり、その諸特徴が生産性向上に対してブレーキになっている。
また、サービス供給の効率化という観点から生産性を高めるというのであるならば、それなりの方法論があるかもしれないが、しかし必ずしも供給効率の高いサービスが顧客満足度を高める質の高いサービスであるとはいえない。
民間サービス業者は、供給効率の向上とサービス・クオリティの向上というアンビバレンツな課題について、日々真摯な態度で取組んでいるだろうし、逆に公的評価の基準が間違った「お墨付き」を与えてしまう可能性だってある。
もちろん、何をもってサービスの生産性を測るのかという根本的な問題があるのだが、市場に対する非常識な公的介入が市場の活性化どころか、サービス業者の慢心の助長という最悪のケースを導きかねない。
とはいえ、政府の真意はまったく別のところにあることは見え見えなのだが。

Reaction

  1. Nori より:

    民間では、サービスを向上に努める企業にはそれなりの評価や結果が出ていますよね。
    既に口コミやインターネット上でも個人の評価は十分あるわけだし。
    政府のモノサシで測ってどうなるのでしょうね?
    やっぱそんなことよりも公的サービスの評価の方を急いでほしい。
    できれば市町村別に公開して少しでも良くしてくれー!って心底思います。

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