「マイバッグ」持参率の二重の意味と無意味
当ブログの中でも度々登場しています「スーパーのレジ袋」の問題。
近ごろ、近所のスーパーでは「当店の先月の『マイバッグ』持参率」という数字を掲示するようになりました。
さて、この数字は一体何を意味するのでしょうか?
さかのぼると、2007年夏あたりにスーパで買い物バッグ(以下、「マイバッグ」という)を持参すれば、2~5円ほど割引してくれるようになったという話から、私たちは意識するようになりました。
それから5年ほど経ち、先ごろ近所のスーパーにおいて、「マイバッグ」を持参した場合に割引くサービスから、レジ袋を有料化する取組みに切り替えられました。
その理由が確か、「マイバッグ」を持参するお客さんが増え、ある程度意識が浸透したので、「マイバッグ」持参によるレジ袋使用削減をさらに高めるために有料化に移行するといったことだったように記憶しています。
Marble-LabメンバーのひとりでもあるPinkyさんによる以前の記事の中で、次のように言及していました。
袋持参者にはキャッシュバックするというやり方と袋を持って来なかった人にレジ袋代を負担してもらうやり方では、どちらがレジ袋削減に効果があるのだろうか?
もっとも後者はその負担から客に逃げられる懸念がスーパー側にはあるだろうから、各スーパーが一斉にやらない限り実施は難しいだろう。(「スーパーと消費者が行う環境への取組み」)
この指摘はもっともで、利用者の心理的負担感が大きければ大きいほど、レジ袋使用の抑制効果は高く、同時に負担感の閾値を超えてしまうと抑制効果は撤退行動に転換してしまうでしょう。
つまり、「より削減効果を高めたい」とする、近所のスーパーがレジ袋有料化に切り替えた理由は、非常に合理的だと言えます。
しかしながら、数ヶ月前、レジ袋有料化に関するポスターを店舗で見たときに、どうしても納得できない気持ちになり、お店にあった「店長へのご意見」箱に質問を投書してみました。
納得できない理由とは、そもそもレジ袋削減の本来の目的は何であったのかということ、そしてその上で、私たち消費者に「マイバッグ持参」意識が浸透してきたという根拠が何なのかということであり、そのことに対して一切説明されていないことに不満を感じたわけです。
数日後、その店舗の店長さんから回答が貼り出されていましたが、残念ながらステレオタイプな内容で満足いくものではありませんでした。
前置きが長くなりましたが、この「マイバッグ持参率」なる数字は何なのかというと、文字通り「マイバッグを持参したお客さんの割合」をアドホックに示しているわけですが、裏を返せば、「マイバッグを持参しないお客さんの割合」も示していることにもなるわけです。
つまり、「当店のレジ袋使用削減に非協力的なお客さんは××%です」という意味に過ぎないということです。
問題はそれだけにとどまりません。
お店の目標をきちんと表明していため、この値が高いか低いか直ちに判断することができないという問題の方がより重大だと思います。
改正容リ法では、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するために、指定容器包装利用事業者†1に、容器包装の使用合理化のための「目標の設定」や、消費者による容器包装廃棄物の排出抑制を促進するための「情報提供」などの取組みを義務化しました。
このことからもわかるように、「マイバッグ持参率」を高めるのはあくまでも手段であって、そもそもの目的は容器包装の排出削減にあるはずです。
したがって、数字を掲げるにしても、アドホックな結果だけではなく、例えば、レジ袋使用量の増減値やお店の目標値とその達成率など、効果や成果が明確に評価できる数値を消費者に対しても提示し、理解と協力を求めるべきではないかと思います。
Notes
- 各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業、たばこ・喫煙具専門小売業 ↩
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