価格の裏付けと適正化について
よく「専門家やプロに頼むと高い」という話を聞きます。
今回は「価格」の高い安いについて、ちょっと思うところがあったのでグダグダと書きます。
主に官庁関係での話ですが、ある業務の競争入札に、実績と経験のあるA社と新規参入のB社が入札参加し、A社よりもB社の方が入札金額が安かったため、結果としてB社が落札するといったことがあると思います。
もちろんB社の入札金額が安かった理由が、独自ノウハウの開発や作業効率を実現した結果のコストダウンだったのかもしれないことは否定できませんが、一方で、実績のあるA社の見積金額が高かったのにも、ちゃんとした根拠があったかもしれないよと思うのです。
というのも、業務発注側や経験の浅いB社には想定できてない潜在的な追加的作業を、経験とノウハウを蓄積してきたA社は見通している場合などが結構あるからです。
具体的な例として、アンケートの入力、集計、分析という一連の業務があったとします。
さらに業務発注側がアンケートの入力まで行なって、それ以降の業務を外部委託するという場合もしばしばあります。
その場合、もしかしたら経験の浅いB社は「入力は終わっている」と想定して、それ以降の作業量だけで積算するかもしれません。
他方、A社は、その入力されたデータがスムーズに集計作業に使える形式ではないということを、これまでの経験則から見通していて、入力データの加工変換や場合によっては再入力も含めて積算しているかもしれないからです。
「価格の安さ」で業務を受託した経験の浅いB社が、実際に業務をはじめてみて、想定していなかった作業発生に予算を食われることになり、そのしわ寄せがさらに別の問題の引き金になり得ることは、業務管理経験者なら想像に難くないでしょう。
つまり「素人の仕掛品ほど高く付くものはない」のです。
「最終的にアウトプットさえ納品されるならば、価格が安い方が効率的ではないか?」という意見もあろうかと思いますが、明らかに費用的に不適正であれば結局クオリティに悪影響が出るのはほぼ間違いありません。
経済的効率性を優先し過ぎた結果、社会的有効性を損なうことがあるならば、その意思決定は適正であるとはいえないでしょう。
少し話がズレますが、最近では、とくに賃金の保障という観点から、「公契約」や「公契約条例」を導入されている地方自治体も出てきました。
ただ安ければよいという風潮に対するアンチテーゼであり、もっと広がるべき制度だと思います。
市場メカニズムにおける「価格」の優れたインジケーターは否定しません。
しかし、それ以外の情報も含めてその「価格」が適正であるか否かを総合的に評価判断†1することが、最終的にはアウトプットの品質保障につながるのではないでしょうか。
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Notes
- いわゆる「総合評価落札方式」 ↩
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