2023年 明けましておめでとうございます
2023年、明けましておめでとうございます。
国内の新型コロナ感染拡大は、2020年1月末からついに3年目を迎えてしまいました。
昨年のはじめに「第6波の瀬戸際」と書いていまして、年末には第8波に突入し現在その最中だと思われます。
2022年12月30日時点の国内感染者数は累計で約2,910万人、死者数は56,974人とのこと(厚生労働省)。
身近な人が感染することも珍しいことではなく、相当にしぶといウィルスだと言わざるを得ません。
世界的にも防御をほとんどしない方向なので、引き続き第9波、第10波がやってくるのは避けられないでしょう。
こうなると、特効薬が開発されない限り、人類は場当たり的な対策を繰り返すばかりに終始するのでしょうか。
いい加減、なんとかしてもらいたいです。
さて、福岡市については、2020年頃から始まった「天神ビックバン」という再開発事業の解体工事が目に付きます。
天神コア、天神ビブレ、福ビル、イムズなど、福岡市天神のランドマークが次々に姿を消してしまいました。
昨年末に福岡パルコと新天町エリア一帯の再開発も発表され、いよいよ天神の「顔」がなくなってしまうかもとやや悲観的な思いに駆られます。
もちろん「再開発」をすべて否定するわけではありません。
遡ると第1次天神流通戦争と呼ばれる1970年代に、ダイエーショッパーズ、大丸福岡天神店、天神地下街、天神コア、岩田屋新館が開業。
第2次(1980~1990年)に、ソラリアプラザ、イムズが開業。
そして第3次(1996年前後)に、Zサイド、エルガーラ、福岡三越、ソラリアステージ、キャナルシティ、博多リバレインが開業、天神ビブレ増床。
この一連の再開発ラッシュによって、福岡市が全国的にも成長著しい都市として評価されるようになったと言えるでしょう。
しかしながら第3次天神流通戦争においてデパートの売り場面積が約3倍になり、今から思うとこの時点で天神は臨界点を超えてしまったのかもしれません。
2000年代はじめに、岩田屋は経営危機に陥り、2007年に井筒屋博多店が閉館してしまったことが、そのことを物語っています。
その後も、BiVi福岡、天神VIORO、ミーナ天神、天神ロフト、天神パルコ、JR博多シティ、KITTE博多・博多マルイ、ららぽーと博多などが相次いで開業、そして現在の天神ビックバンにつながります。
この流れの中で、天神ビックバンという再開発を改めて考察する必要があるではないかと思います。
単純に売り場面積を増やしても、それに比例して集客力は単純に増えないことは、第3次天神流通戦争から得られた教訓です。
競争環境も、天神エリア内だけでなく、天神エリア vs. 博多エリア、都市部 vs. 郊外店に広がっています。
最近では、リアル店舗 vs. ネットショッピングも主戦場になりつつあることは周知の事実です。
つまり、リアル店舗の物理的な売り場面積「増床」戦略の優位性が、一方でかなり怪しくなっているということです。
そう考えると、天神ビッグバンの目玉である「高層化」によるキャパシティの増加については、的外れな計画に感じてしまいます。
外部資本の大手ディベロッパーが手掛ける、「量産型」の街づくりが効率的なのはわかります。
そういった短期的なメリットの実現も重要ですが、どこかの大都市のコピペな街並みを「これが福岡たい!」と感じる人は多くはないでしょう。
地域とのつながりの薄い大企業がやって来て、家賃の相場が上昇する。その地に根を張って商売をしてきた商店が押し出される。地域住民も押し出される。そして世の中の潮目が変わり、元凶だった大企業は去っていく・・・問題なのは、大企業が去ったあとも高い家賃は残るということである。必然的に空き店舗が増える。空き店舗が多数ある、という風景は近隣の商店やコミュニティにとっていいことではない。全体的に客足が落ちるし、街のムードが荒む。(『Weの市民革命』(佐久間裕美子 著、朝日出版社、2020,92p))
上の引用文は、ニューヨークのマンハッタンで起こっているジェントフィリケーション問題をわかりやすく表現しています。
再開発事業は「街の新陳代謝」を人工的に強制している面がありますし、いままさに天神ビックバンはその象徴とも言えます。
それが計画的であればある程度コントロールできるかもしれませんが、一度加速しはじめた資本の循環を制御することは困難でしょう。
かつて福岡市総合計画審議会に参画されていた阿部真也先生は、「地域社会に内生的・適応的に形成されてくる社会的・文化的価値を重視した発展モデル」(『現代日本の流通と都市』阿部真也・宇野史郎 編、有斐閣選書、1996年、356p)が、都市の長期的な成長にとって重要だと指摘されています。
天神ビックバンで変貌する天神の街を見ながら、福岡市のこれまでの発展はこの絶妙なハンドリングに方向づけられていたのだなと、改めて痛感している2023年のスタートです。
本年もよろしくお願いいたします。
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